日本橋の300ｍ北にある、明治2年創業の老舗そば店。天ざる、天もりそばの発祥の店として知られる。
木塀や木々、灯籠などがあしらってあり、風流な店構え。入口に、鮮やかな黄緑の暖簾がかかってた。
江戸時代に繁盛した「糀町七丁目砂場藤吉」から暖簾分けし、慶応年間（1865〜1868年）に芝高輪の魚籃坂に開業した後、明治2年（1869)に日本橋の本石町2丁目に「本石町砂場」として移転.。昭和７年（1932)、町界変更に伴い、室町砂場に店名変更≫人気blogランキング
表通りから1本西の道路に面して建つ、4階建ビルの1階が店舗（2階には宴会席があるよう）。
砂場そばは、豊臣秀吉が大阪城築城の際、大坂の菓子屋が、資材の砂置き場に蕎麦屋を開店したのが始まりとされる。
入口隣にある勝手口風ドア脇に、約80年ぶりにご飯物が復活したとあった。
開店時間前に到着したらすでに行列が出来ていた。
開店時間になると、列前の人から順に暖簾をくぐって中へと入っていく。
入口ドアは2重。暖簾をくぐると、すぐ先に1つめのドアがある。ここを入ると1坪程の待合風の空間になってて、90度左手にもう1つドアがあった。
ようやく待合風の空間まで入り待ってると、トレイ＆おしぼり持った接客係の女性が迎えに来てくれて、店内へ案内してくれた。
客は1組ずつ席へと案内され、お茶を出された後、注文をしてた。そのせいか、思ったより列の進むのはゆっくりだった。
入ると、正面奥へと通路が延びてて、通路右手がテーブル席になってた。
テーブル席奥には小上がり席があった。
和紙＆電球色の照明が点いてる店内は、右手奥に庭があり、小さめテーブルが間隔近めに配置されてるものの、接客係の女性が適度に間隔を空けた席へ客を案内し、和風レトロでゆったりとした雰囲気。
通路の突き当たりは、箱に面した個室風部屋になってて、4人テーブル×2があった。
テーブルには、小さめ（A5位）サイズの冊子型メニューが置かれてた。
メニュー1ページ目が、季節＆一品料理になってて、蕎麦だけではなく、つまみになりそうな料理も充実してた。
メニューに、天吸い（＝天抜き、天ぷらそばから蕎麦を抜いたもの）があって、いかにも江戸前そば店風。
先客たちは、蕎麦を食べたり、料理をつまみにやビールを飲んでたり、冷酒を片手に片手に読書しつつ料理を待ってる1人客もいて、それぞれ自分流に粋に過ごしてた。
壁には、数量限定ご飯物が3つ（焼鳥重、親子丼、天とじ丼）表示されてた。冊子メニューには記載されてないご飯物メニューで、これが80年ぶりに復活したもののよう。
メニューから、この店発祥の天ざる￥1900（税込￥2090）、もり￥800（税込￥880）、野菜の天ぷら￥1400（税込￥1540）を注文した。
ちょっと待ってたら、料理が運ばれてきた。
もり ￥800（税込￥880）
先に、つゆと薬味がきた後、四角い器に運ばれてきた。
もりそばは、ひきぐるみ粉（そばの実の殻ごと挽いたそば粉）を使ったてるとのことで、きれいに平らに盛られてた。
うっすら緑かかった色の細いそばで、冷水でしっかり締めてあり、細いながらもコシがあり、口に含むと蕎麦の香りが感じられる。色の箸で持ち上げるとしっかり長さがあり、表面ざらつき少なくのどごしよく食べられる。
つゆは、濃い色で甘さのある濃い口タイプのもの。そばに控えめに付けてたべると、そばの風味がひきたつ感じ。
量がやや控えめのせいか、大盛りを注文してる人も何人かいた。
天ざる ￥1900（税込￥2090）
天ざるは、四角い器に入った冷たいそばと天ぷらの入った温かいつゆが一緒に運ばれてきた。
天ざる、天もりはこの店発祥で、天ぷらそばを暑い夏でも食べやすいよう、冷たいそば＆温かいつゆつけ麺スタイルにしたとのこと。
もりそばとは違って、さらしな粉（そばの実中心部分のデンプン質が多く色が白いを粉）を使ってるとのこと。
透明感のある白い色の細そばで、表面つややか。そばの風味はあまりないが、長さがしっかりあり、とてものごしよく上品。
つゆは、温かいつゆの中にかき揚げ天ぷらがほぼ沈んだ状態で入ってて、三つ葉が散らしてあった。
かき揚げは、しっかりめに揚げてあり、小海老、イカ（たぶん）が入ってて、つゆと一体化して、そばとよく絡む。
野菜の天ぷら ￥1400（税込￥1540）
野菜の天ぷらは、千住ねぎ、大葉、しいたけ、ごぼう、いんげんの盛り合わせ。大根おろし＆しょうが、レモンが添えてあり、天つゆ、塩が味わえるようになってた。
しっかりめに揚げてあり、香ばしい天ぷらで、特に千住ねぎがジューシーだった。
そば湯
そば湯は、朱色の湯筒で運ばれてきた。
うっすら白濁してて、ナチュラルなそば湯だった。
季節メニューやご飯物が食べたいので再訪。
竹の子土佐煮 ￥900（税込￥990）
土佐煮は、あっさりめの味付けで、竹の子穂先と根元の部分があり、七味と木の芽がトッピングされてた。竹の子の部位による食感の違いや香りが楽しめた。
玉子焼 ￥700（税込￥770）
写真は￥700の玉子焼の1／2サイズ
玉子焼きは、2人で来店したら2つにカットし、2つの皿に大根おろしを添えて運んできてくれた。最初間違えて２人分運ばれてきたのかと思ったが、確認したらこれで１人分だそう。
しっかりした甘さのある、じわっと出汁の水分を含んでて、甘じょっぱい郷愁を感じる懐かしい味。
そばの実･ひじきの生野菜 ￥750（税込￥825）
レタス、きゅうり、大根、ひじきに、薄緑色のそばの実がしっかりめに混じってた。ドレッシングが2種（そば味噌、胡麻酢）から胡麻酢を選んだ。
そばの実は噛むと、そば特有の軽いぬめりが感じられ、胡麻酢は、粘度強めのねっとりとした練り胡麻っぽいドレッシングで、ヘルシーなのにコクのある和風サラダだった。
天とじ丼 ￥1150（税込￥1265）
天とじ丼は、昭和っぽい蓋付き丼で運ばれてきた。
蓋を開けると、玉子とじされたかき揚げ（しっかりめに火が通ってて半熟ではない）に、青のりがトッピングされてた。
かき揚げは、小海老、イカ（たぶん）などが入ってて、天ざると同じものみたい。
玉子とじされたかき揚げの下には、しいたけ、長ネギ、が入ってて、つゆも適度にかかってた。
かき揚げの油分がごはん、玉子、具材と絡み、見た目より塩分控えめで、のりの風味の効いた花巻っぽい味の丼に仕上がってた。
かけ ￥800（税込￥880）
かけは、気の短い江戸っ子が丼に移した蕎麦に、濃いつゆをぶっ掛けて食した、本来のかけそばとのこと。
つゆの量ひかえめ（ひたひた位）に入ってた。つゆは、熱すぎず、ぬるすぎず、もりより薄めの味付けのもので、シンプルで食べやすかった。
桜切りそば ￥1100（税込￥1210）
桜切りそばは、細長い器で運ばれてきた。
うっすらピンクかかった細そばで、さらしな粉が使ってあるよう。
冷水でしめてあり、口に中に入れると桜の香りがほんのり感じられ、コシがあり、のどごしよく食べられる。
そばの下には、桜の葉が2枚敷いてあり、味だけではなく視覚的にも春の感じられるそばだった。
高級地にありながら、店員さんたちは気さくな感じで、江戸時代が感じられる優雅な蕎麦店。
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■『室町砂場』日本橋本店
東京都中央区日本橋室町4-1-13
電話：03ｰ3241ｰ4038
営業：平日11:30~15:30、16:30~21:00
土曜11:30~16:30
各閉店時刻30分前ラストオーダー
定休日：日、祝
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