成田山新勝寺のすぐ脇の鰻専門店。

左右の傾斜が異なる緩勾配の切妻屋根&白壁のどっしり古風な2階建て。1階の小屋根に沿って、赤い水引暖簾が掛かってた。

店の駐車場は無いようなので、近くの有料に車を止めた≫人気blogランキング



成田駅から新勝寺への下り坂の参道を下りきるとある。

人気店なので、ゴールデンウイークだったこともあり、開店前に着くよう出かけた。店には10時半に着いたが、準備中の札が出てて、店頭で待つ客はいなかった。

寛政10年(1798)頃、成田山門前で旅籠として創業。5代前の当主の頃には、両国、浅草、吉原、向島に支店があったが、関東大震災、戦災でそれらを失う。その後、交通の発達により、成田山へ日帰りできるようになっため、旅館業から中食屋となり、現在は鰻専門店となった。屋号は、創業者の与兵衛が駿河の国(現静岡県)の出身のため。

 

店内や店頭では、従業員たちが開店準備をしてた。

店頭には、白い調理着&帽子+マスクをした年配の男性が、地面に置いた筒状の器具(火おこし)の中に炭を入れ、炭に火が着くと、それを炭焼コンロの炉の中に入れて、焼きの準備をしてた。

建物左手の一画は、道路側が開けっ放し(窓ガラスもなく窓桟だけ)になってて、中では、長いまな板(厚みが40〜50cmもある)を中央に、調理着&エプロンを着けた男性3〜4人がいて、活鰻の割き〜串打ちを流れ作業で行ってた。

いちばん道路側にいた野球帽を前後ろ逆に被ってる男性は、水が滴下してる丸い桶(たてこみ桶)を背にして、活きてる鰻を、目打ち→刃を入れて背開き→内臓などをきれいに取り除く、と一連の作業を鮮やかな手さばきで行ってた。「串打ち三年、割き八年、焼き一生」と言われるように、鰻の仕込みには高度な技術が必要。

串打ちされた鰻は、業務用の四角いコンテナの中に、どんどん並べられていく。

鰻の血が飛び散り臨場感たっぷりのデモンストレーション。川豊本店でもデモンストレーションがあったが、熟練した職人技に見とれてしまった。

 

玄関前には、メニューが鰻の産地の証明書付きで掲示されてた。

メニューを見てたら、玄関から男性従業員が「うな丼¥2200」の看板を持って出てきたので、店の前に並んで待ってた方がいいのかと尋ねたら、番号札がありますからと言って、すぐに店の中に戻って、番号札を取ってきてくれた。

1番のりかと喜んでいたら、渡された番号札は3番で、開店時間になったら、受付番号順に呼びますからとのこと。

開店時間までに店に戻ってくることにして、先にお参りに。



成田山新勝寺が繁盛し始めたのは江戸時代初期。初代市川團十郎は、14歳で初舞台を踏み、豪快で力強い芸で人気を得たが、跡継ぎに恵まれなかった。父親が、成田出身だったことから、信仰していた成田山の不動明王に祈願したところ、願いが叶って元禄元年(1688年)に男子(二代目團十郎)を授かった。初代市川團十郎は、大そう喜び、元禄8年(1695年)に成田山不動明王を初演し、その後も度々不動明王を演じるようになり、この役が市川家の十八番となった。屋号が「成田屋」となったにもこの頃からとされている。

江戸で團十郎が成田山のお不動様にちなんだ演目を演じることにより、江戸の人達が大勢成田を訪れるようになる。泰平な時代となり、豪華絢爛な元禄年間は、庶民の暮らしにゆとりが出てきたこともあり、江戸から2〜3泊で往復できる行楽地として、成田詣は盛んとなった。

参拝客が増える中、門前町の旅館では、利根川や印旛沼などで穫れる川魚料理を出していたが、江戸でのうなぎの人気に高まりに連れて、うなぎ料理を名物にするようになった。

現在も成田山周辺を中心として成田市内にはうなぎ料理のある店が多い。成田山の800mの参道の約60店の旅館や料理店でうなぎ料理をだしてる。これだけの密度で、うなぎ店のある地区は全国的にも珍しい。

開店数分前に店に戻ると、玄関前には10人以上の客が立ったり、縁台に座ったりして待ってた。店頭で火おこししてた男性は、コンロの上に串打ちした鰻を並べて焼き始めてた。



時間通りに店が開き、受付順で番号が呼ばれた。番号を呼ばれて、玄関から中に入ると、正面奥に帳場風の受付&レジのあるロビー風空間になってて、ここで女性従業員に人数を確認されてから、席へと案内された。

柱や長押が太い店内は、老舗らしい重厚感があって、壁に飾られた力士の手形が力強さを添えてる。

客の誘導や接客は、中尾ミエにちょっと似てる?の女将さんらしき女性(この日は赤紫の服を着てた)の指示に従って、絣の着物+赤いたすきの女性、エプロンを着けた女性、学生っぽい若い女性など、かなりの人数の接客係が行ってて、連休中は、従業員や家族総出って店を切り盛りしてる感じ。

客席は、受付&レジの左手と右手の2カ所にあった。玄関入ってすぐ右手には階段があって、2階席もあるよう。

 

受付&レジ前のロビー風空間には、端午の節句の鎧&甲が飾られてた。また、長州備長炭のダンボール箱もいっぱい並んでた。

左手の客席は手前側(店頭側)が厨房になってて、忙しそうに男性調理が働いてた。蒸し、焼きなどが行われてて、外から見たのとはまた違った作業の様子が見られた(店頭では下焼き、店内では本焼きしてるのかも)。



受付&レジ右手の客席は、通路の先の少し奥まった場所にあった。



席数少なく、ゆったり配置されてて落ち着ける。開いてる窓から、風鈴の音と共にそよそよと風が入ってきて風流。壁には明治時代の成田山の絵図などがあって歴史が感じられる。




テーブル上には、メニューが置かれてた。木表紙には、店のロゴである富士山のイラストが入ってた。

うな丼¥2200、うな重¥3600、特上うな重¥4950は、鰻は同じものを使ってて、うなぎの量が違ってて、うな丼約1/2尾(肝吸なし)、うな重1尾、特上1.5尾になってるとのこと。

予め考えてた、大井川共水うな重¥5500、うな重¥3600、白焼¥3200、鯉にこごり¥500、鯉竜田揚げ¥900、やきとり¥950、と、その日の限定らしい、もくぞう蟹の味噌汁¥450を注文。

肝焼きは、肝が不足しているためありませんとのこと。




テーブルの上には、人数分の牡丹の絵の入った敷紙、おしぼり、箸がセッティングされてて、ここにすぐにお茶が運ばれてきた。また、テーブル上には、山椒も準備されてて、蓋を開けるなり、山椒のいい香りが周囲に漂う。

ちょっと待ってたら、料理が運ばれてきた。


漬物

一番先に、漬物が運ばれてきた。うな重が四角鉢ので、共水うな重のは丸鉢に入ってた。


鯉にこごり ¥500

鯉のにこごりは、中鉢に、長方体のが3ヶ、小菊、大葉が添えて盛り付けてあった。

ブルンと弾力があって、少し多めのゼラチンで固めてあるよう。中には、小さめに切ったうなぎの身と、生姜の千切りが入ってて、色はついてないが、醤油っぽい味付けになってて、うなぎの風味がしっかりと感じられて、ビールが飲みたくなった。


鯉竜田揚げ ¥900

鯉の竜田揚げは、珍しいメニューで、食べるのは初めて。刺身っぽい薄切りの鯉の身が、醤油で下味を付けた後、片栗粉でカラッと揚げてあった。

下味がちょっと濃いめについてて、くさみなく、小骨もなく、とても食べやすかった。鯉にこんな食べ方があるとは面白い。


水郷若鶏やきとり ¥950

やきとりは、長方形の和皿にこんもりと盛られてて、ボリュームたっぷり。一般的な串打ちの焼き鳥ではなく、ブロックで焼いてから、1口大位の大きさに切って盛りつけたよう。

焼き色控えめながら、香ばしく焼けてて、甘さ控えめのタレが絡んでた。




白焼 ¥3200

白焼きは、朱塗りのお盆で運ばれてきた。

四角のお重の蓋を開けると、中に1尾分の白焼が入ってて、これに、本わさび、生醤油が添えられてた。

白焼は、うっすらとした焼き色で、焼き上げてあった。箸で切り分けて食べてみると、焦げ目は控えめながら、表面には水分がなく、とても香ばしく、中に身はふっくらとしてる。

醤油&わさびで食べると、よけいな味付けがないので、鰻の味がストレートに濃厚に口の中に広がる。蒲焼とは異なるうなぎの味が楽しめて幸せな気分。




うな重(肝吸付)¥3600

うな重は、ごはんの上に、色艶よく焼けた鰻1尾分が載ってた。ごく表面だけしっかり乾いたように焼けてて、中はふっくらとしてて、炭火焼きならではの香ばしさ&やわらかさ。

タレは、甘さのしっかりとした、濃い口タイプのもの。ごはん、うなぎにも、控えめにかかってた。



大井川共水うな重(肝吸付)¥5500

大井川共水うな重は、大きめのお重で運ばれてきた。

蓋を開けると、やや小ぶりの鰻が2尾分、しっぽの部分を少し折りたたむようにして、ごはんの上に載ってた。

やや小ぶりながら、身はキメが細かく、しっとりとしてて、鰻の風味は濃厚なのに、あっさりとしてて、とても上品な味わい。普通のうなぎと食べ比べると、身のきめ細かさがはっきりわかった。

うなぎの量がたっぷりで、上質なうなぎを堪能できた。

大井川共水うなぎ は、以前浜松の鰻店『うな正』で食べたことがある。静岡県焼津市(旧・大井川町)で養殖されてる。地下125メートルの井戸より自噴する大井川の伏流水と静岡の温暖な気候を利用して、ストレスのない天然に近い四季の中で育ててる。
健康で美味しく育てる為、飼育に11〜32ヶ月(平均15ヶ月、一般養殖は6〜10ヶ月)かかり、飼育数に制限があり、全国で30数店の鰻店でしか味わうことのできないブランド鰻で、幻の鰻とも呼ばれてるそう。


(左)うな重と(右)共水うな重

直接比較のため撮ってみた。



もくぞう蟹の味噌汁 ¥450

もくぞう蟹とは、藻屑蟹(モクズガニ)の千葉県での別名。一般に産卵期の9〜11月にかけてが旬と言われてるが、産卵期は、春(4月頃〜)と秋(10月頃〜)の年 2 回あるよう。以前、『うなぎ さかた』で食べたことがある。
味噌汁の中に、半分に割った、モクズガニは1匹分が入ってた。モクズガニは、獲れたてのようで鮮度よく、身はふっくらしっかり詰まっててボリュームたっぷりだった。うちこもたっぷり抱えてて、ちょっと食べにくかったが、濃厚な味が楽しめた。

店頭に、下総醤油のステッカーと、備長炭使用の木札が掲げられてた。

下総醤油は国産材料だけで作ってるとのこと。最近は、4合で100円位の安価な醤油も出回ってるが、これらは、厳密にいえば醤油風調味料で、醤油ではない。うまく調合されてるが、調理に使用して、出来上がった料理を食べてみれば、本物の醤油との味の差は、歴然とする。醤油風調味料では、おいしい煮物、おいしい炊き込みごはんは作れない。本物の醤油は、添加物もないので、体にもいい。ちょっと値段は高めだが、毎日使うものなので、安全、安心、おいしいものを使いたい。伝統の製法でつくられた発酵調味料を使えば、放射線障害にもよく、料理もおいしく仕上がって、日本人であることが嬉しくなる。

厳選された素材を使い、備長炭で焼き上げ、伝統の技を使ったうなぎ料理店。風流で居心地も良く、うなぎ料理が堪能できる。おすすめ度は、7,8。

にほんブログ村 地域生活(街) 関東ブログ つくば情報へ
にほんブログ村   ブログバナー4
       ↑
  応援クリック、お願いします♪

成田山新勝寺総門脇 鰻専門店『駿河屋』 千葉県成田市仲町359

 電話:0476-22-1133
 営業:11:00~17:00
 定休日:木曜日