島根県出雲市、湯の川温泉にある旅館。以前は『内田荘』(明治33年創業)が、『湯宿 草庵』としてリニューアル。

湯の川温泉は、日本三美人の湯の1つ。神代の昔、大国主命を慕って旅に出た八上姫(やかみひめ)が発見したと言われ、この湯で旅の疲れを癒やしていっそう美しくなったという逸話がある(八上姫の神話)

茅葺き門のある木々の覆い茂った広い敷地内に、飛騨高山の古民家を移築してレストラン棟を完成し平成16年プレオープン。その後、宿泊棟(10室)、離れ(2室)、4つの露天風呂(岩風呂、石風呂、檜風呂、漆風呂)、ラウンジ棟、内風呂、カフェバー、洋館レストランなどを次々に建て、平成24年6月、和洋折衷のレトロモダンな宿としてグランドオープンした≫人気blogランキング

 

ほとんどの旅館では駐車場に車を入れると同時に、控えてた従業員に出迎えられ、荷物を持ってくれるのだが、この宿は違った。
敷地南側にある駐車場に車を止めたが、従業員の姿は見当たらず、自分たちで荷物を持って、茅葺き門〜奥へと続く石敷きの小道を歩いて言った。そこで、丁字茶(ちょうじちゃ)色のユニフォームを着た従業員に出会い、ようやく、いらっしゃいませと迎えられて、受付へと案内された。



受付は、築115年の古民家を移築した、ベンガラ漆喰のレストラン棟『すゞ菜』内にあった。

入口扉は、高さの低いくぐり戸で、頭をぶつけないように中腰になって中へと入った。

 
(左)受付 (右)ウエルカムドリンク

入ると、正面奥が横長に机&椅子の配置された受付になってて、ここを素通りし、左手にある部屋へと案内された。

古民家らしいほの暗い室内にテーブル席が4つ配置され、そこに座ると、すぐに梅ジュース、自家製柚の金平糖、おしぼりを載せたお盆が運ばれ、それを飲みながら宿帳を記入する。



宿泊受付を済ませた後、従業員に先導され屋根のある渡り廊下風通路(小道?)を通って、敷地内の施設を案内され、その後ようやく部屋へと案内された。

宿泊したのは、2室ある離れの1室で、源泉掛け流し半露天風呂付きの広さ約65畳の部屋(寝室10畳、小間4畳、談話室7畳、テラス10畳、半露天風呂&ウッドテラス12畳、玄関土間5畳、庭12畳、玄関アプローチ5畳)。

1841年(天保11年)築の古民家を移築した建物内に2室が並び、各部屋専用の玄関アプローチが設けられてる。

部屋は、通路風の細長い玄関土間&畳敷きの廊下を、コの字で囲むように、談話室、寝室、風呂、洗面&トイレ、小間が配置されてる。日本の古い家らしく、土間と各部屋との段差が大きく、窓は小さく取ってあるためほの暗い室内は空気が冷んやりとしてて、ランプ調のレトロな灯りがともってる。

■離れ

談話室(洋間)

談話室には、テーブル&椅子、テレビ、冷蔵庫、ポット&お茶道具、クローゼットなどが配置されてて、椅子の赤色が映えてて、レトロモダンな雰囲気。

テーブルの上には2種類の和菓子、クローゼット内には浴衣が準備されてた。アンティーク調のクローゼットは、見た目より収納力がなかった。

 
寝室&小間

寝室と小間には、到着時、すでに布団が敷かれてて、そのため、くつろげるスペースは床が固くて冷たい談話室のみだった。旅館について、畳にごろんとなるという開放感は得られなかったが、シックにくつろぐ旅館のよう。


部屋風呂(源泉掛け流し半露天風呂)

お風呂はウッドデッキ付きで12畳と、とても広かった。

宍道町来待地区でしか産出されない来待石(きまちいし)で造ってあるという渋い風合いの浴槽は4人入れる位たっぷりと大きかった。浴槽のまわりには竹が敷き詰めてあり、カタカタと軋んで歩きにくかったが、凝った造りで、窓を開け放せば露天風呂気分に浸れた。

部屋風呂だが、源泉掛け流しの温泉で、加水はしていないらしい。

温泉&風呂好きの私は、部屋以外の4つの貸し切り露天風呂(岩風呂、石風呂、檜風呂、漆風呂)を楽しみにしてたが、離れのお客様は利用できませんと言われ残念だった。

部屋風呂と内風呂(瓢風呂)に入ったりしてたら、すぐに夕食時間となった。

食事は夕食、朝食共、部屋食ではなく、レストラン棟でとるシステムなので、浴衣姿で散歩がてら小道を歩いて行った。


新しいレストラン

受付まで行くと従業員に出迎えられて、宿泊受付をした食事処『すゞ菜』に隣接した、この6月オープンしたばかりのレストランへと案内された。

新しいレストランは、天井が高く、黄色に白の縁取りのある壁&ステンドグラスに彩られた、開放的な洋館造りの建物だった。

■夕食


テーブル上には、献立表、お美くじ(おみくじ)、おしぼり、箸&スプーンなどが準備されてて、席に座ると、すぐに食前酒&前菜が運ばれてきた。

  

ドリンクメニューから、生ビールなどの飲み物を注文。


◎食前酒&前菜(4品)
・すいかの食前酒
・クリームチーズの冷製、わさびのせ
・水茄子のカナッペ、生ハムのせ&鮎の土佐煮
・水茄子の冷製、湯葉のせ
・もずくのゼリー寄せ
 グレープフルーツ・巨峰添え、オクラのせ

食前酒&前菜は、白&薄グレーの変わり格子柄の大きな四角皿に2人分が載せてあった。ハート型の白い器にきれいなピンク色のスイカの食前酒が入ってて、パッと目を惹く、女性好みの演出。

従業員は、お皿をテーブルに置くと、料理を1品づつ説明してくれた。


生ビール ¥700

すぐに生ビールが運ばれてきた。お風呂あがりだったので、ごくごく飲めた。
     

◎温物(2品)
・薬膳粥
・とうもろこし擂り流し、もろこし玉子よせ

薬膳粥は、湯の川温泉のサービスで、近くの山(大黒山)で採取された薬草:赤芽槲(アカメガシワ)で作ってあり、消化を助ける作用があるとのこと。苦みなどなく、食べやすかった。

とうもろこし擂り流し、もろこし玉子よせは、コーンポタージュの中に、玉子豆腐が入ってるような料理で、滑らかでやさしい食感の料理だった。

テーブル上の料理を食べ終えた頃、従業員は、次の料理をタイミングよく運んで来てくれた。


(左)赤ワイン(ピノノワール、グラス)¥850
(右)めろめろメロン梅酒 ¥700

ビールを飲み干してしまったので、次は赤ワインとメロン梅酒を注文。

ピノノワールは、高級感はないが、酸味&渋みのバランスよかった。メロン梅酒は、うっすら緑色に混濁した、メロンのフルーティーな香りのする甘口の梅酒だった。


◎お造り(2皿):マグロの山かけ/ヒラメ&ふぐ

刺身は、2皿に少量づつ盛られてた。山かけのマグロは漬けで、調味料なしで食べられた。


◎揚物:鮎風干唐揚げ、自家製ポン酢添え

揚物は、鮎風干唐揚げで、京野菜の甘長唐辛子の素揚げがトッピングされてた。カリッと香ばしく揚がってて、骨など気にならず、頭まで全部食べられた。


日本酒:誘一献(いざいっこん、特別純米1合)¥680

日本酒は、6種の地酒の中から、誘一献(いざいっこん)を注文。熱燗or常温から、熱燗にしてもらった。


◎炊き合わせ:鰻、青梗菜、南瓜、素麺瓜

煮物は、鰻と夏野菜が、薄味で煮てあって、ほぐすと糸状になる素麺瓜の食感がおもしろかった。



◎洋皿:豚肉の白ワインスープ仕立て

和会席かと思ってたら、エレガントな洋皿で料理が運ばれてきて、ちょっと驚いた。

島根県産豚ロース肉の蒸し煮風料理で、焦げ目などのない豚肉が箸でほぐれるほど柔らかく、スナップえんどう、しめじ、かぼちゃ、しいたけ、なすなどの野菜が添えてあり、粒状のレッドペッパーとガーリックトーストが添えてあった。

白ワインベースのソースが、やさしく肉と野菜をまとめてて、レッドペッパーがピリッと味を引き締めてた。ガーリックトーストはパリッと香ばしく、ソースに浸った部分はしんなりとしたクルトンっぽく食べられた。


日本酒:月山 芳醇辛口(純米1合)¥680

続いて、地酒:月山を常温で注文すると、漆塗り風の赤い器で運ばれてきた。


◎蒸物:じゃが芋饅頭、グリンピースの餡かけ

蒸物は、じゃが芋饅頭で、滑らかなグリンピースの餡がかかってた。


(左)オレンジジュース ¥420
(右)ウーロン茶 ¥420


◎ごはん&お椀
 べべ(ボべ)貝の炊き込みごはん
 キャベツの擂り流し

締めくくりのごはんは、炊き込みごはん&キャベツのスープだった。

べべ(ボベ)貝は、岩の表面に付着する、島根では夏場によく食用にされる貝とのこと。海の香りのする炊き込みごはんで、もろみ味噌がトッピングされてた。


◎デザート
 マンゴーのパンナコッタ&ヨーグルトムース
 ガトーショコラ

デザートは2種盛り。ガラスの器には、マンゴーのパンナコッタとヨーグルトムースの2層で、脇にはガトーショコラが添えてあった。

料理は品数が多く華やかだったが、食材の重複が多く効率的に作ってあった。

■朝食

・ポタージュ豆乳風
・煮物(湯葉巻き、こんにゃく、里芋、ゴーヤ)
・イカお造り ・温泉玉子 ・ツナ煮こごり風
・ほうれん草&オクラのお浸し
・3種盛(昆布佃煮、大豆煮、明太子)
・サラダ&ゴマ風味ドレッシング
・吹き寄せ豆腐 ・鮭味噌柚庵
・十穀米 ・宍道湖産シジミのみそ汁 ・漬物

野菜は宿裏手にある自家菜園で作っている無農薬野菜を使っているとのこと。朝食も、色とりどりの器に料理が少しづつ盛られ、女性好みの盛りだくさんな内容だった。

朝食時間は、8時or8時半からしか選べなかった。早出の予定だったので意外だった。

新旧の建物に、アンティークの調度品を合わせ、ハード面では新旧の時代の融合が感じられる。従業員は若い人(男性と女性)が多く、ホテルマンのような、マニュアル化されたような折り目ただしい対応。

敷いた布団で占領されて、くつろげるスペースがないとか、部屋が暗くて本を読んだりできないとか、支払いが現金のみで、カードが使えない(出発の支払時に言われ、車で離れたコンビニに行って現金を下ろした)とか、客として使いにくさもあったが、「日本三美人の湯」を自覚してか、料理などは女性好みのイメージで仕上げてあり、華やかさがしっかり演出され、従来の旅館の概念とは異なるユニークな宿泊施設。

応援クリック、お願いします♪ → ブログバナー4

湯の川温泉『湯宿 草庵(そうあん)』
 島根県出雲市斐川町学頭1491 
 電話:0853-72-0226