山形県酒田市にある、フランス料理店。

地元庄内でとれた魚介、牛、野菜、果物等を用いて、この地方の郷土料理の調理法を取り入れてることから、フランス風郷土料理店と呼ばれている。

多くの食通を魅了した、フランス料理店『ル・ポットフー』をオープンし、支配人として運営した、佐藤久一(1930〜1997)が、最初に手がけたレストラン≫人気blogランキング

佐藤久一は、1930年酒田市生まれ。実家は、回船問屋から、1893年(明治26年)に造り酒屋「金久酒造」を創業し、父久吉は市議会議長、商工会会頭などを勤めた。祖父は孫の久一が生まれた時、大変喜んで、販売している日本酒を「金久」から「初孫」という銘柄に変更したという。

1949年、酒田市内にオープンした洋画専門劇場「グリーンハウス」の支配人に20歳で就任。回転ドア、正装姿の案内係、指定席や特別席の設置、東京と同時の洋画のロードショー、ミニシアターの導入、など様々なアイデアを取り入れて、独創的な映画館へと進化させ、1963年には「週間朝日」で、映画評論家:淀川長治に「世界一の映画館」として評された。

1964年上京し、日生劇場に勤め、食堂課へ左遷され、食材を選ぶなどレストラン運営の能力を吸収した。

1967年酒田に戻り、父に要請されて「レストラン欅」をオープンし、取締役支配人に就任した。日生劇場で知り合った太田政宏シェフとともに、辻静雄(辻調理師学校創設者)、ポール・ボキューズ(ヌーヴェル・キュイジーヌの旗手といわれてる、フランス人シェフ)らに学びながら、従来のフランス料理から、庄内産の食材を使ったフランス風郷土料理というジャンルを確立させていった。

1973年、清水屋デパート5階に『ル・ポットフー』をオープン、「レストラン欅」は人に任せて、支配人に就任。グラタンなど、親しみやすいメニューで人気となり、翌1974年から、本格的料理を出す予約制の夜営業を始めて、作家の開高健、丸谷才一、山口瞳などの食通を魅了する店として評判が高まり、東京や大阪からも客が訪れるようになった(丸谷は、文芸春秋で「裏日本随一のフランス料理」と書いている)。1975年、酒田駅前に完成した「酒田東急プラザビル」3階に、『ル・ポットフー』を出店(清水屋デパートの店はデパート移転時に閉店)。

1976年、映画館「グリーンハウス」から出火。強風にあおられ、酒田市内中心部の商店街の22.5haを焼き、死亡者1名、被害総額405億円を出す酒田大火が起きる。佐藤久一は、映画館の経営からは遠ざかっていたが、社長である父久吉が、謝罪会見、映画事業を整理、余剰金や土地の売却益を罹災者に全額拠出などの対策にあたった。酒田大火の後、迅速な復興都市計画が策定され、人々の努力によって、約2年半で復興がなされた。そして、それは阪神・淡路大震災の復興都市計画のモデルとされたという。

『ル・ポットフー』の人気の一方で、看板料理の原価率が七割を超えるなど、慢性的な赤字経営に陥っていき、過度の飲酒もあり、次第に指導力を失い、1993年、『ル・ポットフー』の支配人の座を追われ、古巣の『レストラン欅』に戻り、1997年に亡くなった。



酒田駅から1km程南西の酒田産業会館の地下1階にある。目立たないので、店を見つけるのに少し苦労してしまった。

 

国道112号に面してる、建物東側から地下へ入れるようになってて、階段脇にメニューが掲示されてた。

L字に伸びてる階段を下りていくと、右手に玄関扉があった。



扉を開けて中に入ると、正面奥へと通路が伸びてて、通路右手が広い厨房、左手〜奥にかけてが客席になってる。

白シャツ&黒いスーツを着用した、男性従業員にいらっしゃいませと迎えられて、左手の客席に案内された。

やわらかな照明で照らされた客席には、真っ白なテーブルクロスのかかったテーブルが配置されてて、フレンチレストラン特有のとりすました感なく、クラッシックで落ち着いた雰囲気。

 

ランチメニューは、8種あって¥840〜2625と価格帯が広くとってあるので、気軽なランチにも、リッチなランチの両方に使えそう。他に、コースメニューもそろってた。

ちょっと考えて、日替りランチ¥840、魚ランチ¥1155、牛ほほ肉の赤ワイン煮ランチ¥2205、ステーキランチ¥2625を注文した。

左手の広い厨房では、調理人が高さのある白い帽子をかぶって働いてて、老舗レストランらしい雰囲気。

ちょっと待ってたら、料理が運ばれてきた。

■日替りランチ:ロールキャベツ ¥840
 (サラダ、パンorライス、コーヒー付)


 

日替わりランチは、半球形っぽい大きめのロールキャベツに、サラサラとしたクリームソースがかかってて、人参とブロッコリーが彩りよく添えてあった。

これに、ミニサラダ、ライスが付いてた。

■魚ランチ:鮮魚のムース包み ¥1155
 (サラダ、パンorライス、コーヒー付)



魚ランチは、スズキのムース包みだった。

スズキの身の間に、弾力のあるムースを挟んで、ソテーしてあって、海老、トマト、ブロッコリーなどで立体的に盛りつけてあって、白ワイン、バターなどがベースのブールブランソースがかかってた。

■牛ほほ肉の赤ワイン煮ランチ ¥2205
(スープ、サラダ、パンorライス、コーヒー、アイス付)


牛ほほ肉の赤ワイン煮ランチは、先にスープが運ばれてきた。

2種(カニスープor野菜スープ)からチョイスした野菜スープは、人参、タマネギ、ベーコンなどが入ってて、濃すぎることのない、やさしい味付け。




牛ほほ肉の赤ワイン煮は、ほほ肉がほどけるように柔らかで、マイルドな赤ワインのソースを絡めながら、じっくり味わった。付け合わせの野菜がカラフルで、肉の量も多めに入ってて、リッチなランチだった。

■ステーキランチ ¥2625
(スープ、サラダ、パンorライス、コーヒー、アイス付)


ステーキランチも、スープが2種(カニスープor野菜スープ)から選べた。チョイスしたカニのスープは、ひとくちめを口に含んで、びっくり。カニ丸ごとのうまみが、スープの中に凝縮されたてるような、カニらしい甘みのあるスープだった。




フィレ肉150gのステーキは、焼き方は聞かれなかったが、ちょうどよく焼けてて、ジューシーで弾力ある食感だった。。きのこなどの混じったシャスールソース風のソースがかかってて、フィレ肉の淡白さに風味を加えてた。

サラダは、季節野菜が入ってて、ちょっとボリュームがあった。

■コーヒー


日替りランチ、魚ランチには、小さめのカップに入ったコーヒーが付いてた。



牛ほほ肉のランチ、ステーキランチには、アイスクリームとコーヒーが付いてた。

■サービスデザート


(上)ブランマンジェ ¥315
(左)アップルパイ  ¥315
(右)パリブレスト  ¥420

食後、デザートを追加した。

ガラスの器に入ってた、ブランマンジェは、プルプル滑らか。

アップルパイは、パイ生地に包まれたリンゴが、アップルパイに最適なのシャリシャリ感で、きらりと光るセンスが感じられる。

パリブレストは、ドーナツ形に焼いたシュー生地を水平にカットし、カスタード&生クリームを挟んであった。シュー生地がサクサクとしてて、香ばしかった。

ユニフォーム姿の女性グループ、ビジネスマン、1人で来てる女性客などで満席になった。客席側では、40代くらいのベテランらしい風格の女性を中心に、4〜5人が接客対応してて、男性従業員は忙しそうだが、料理がスムースに運ばれてきて、ゆったりランチを過ごすことができた。お手頃価格のランチだったのに、高級レストランのような心遣いが印象的だった。

今回酒田を訪れて、新鮮な海の幸、山の幸に恵まれているなど、新潟と風土や市民性に共通点が多いことに気がついた。

季節の旬の食材が、素直に調理されてて、気負った華やかさなどがなく、和食に通じてて食べやすく、まさにフランス風郷土料理って感じ。佐藤久一の食に対する思いが、地域にしっとりと根付いているようだった。質、量、雰囲気のどれも満足できた。平日だったが、開店直後から客がどんどん入って来たのも納得。日本海沿いの小都市なのにこんな完成度の高いレストランがあるとは驚き!! 遠回りをしても、ぜひ行きたい店。おすすめ度は、7.7くらいかな。

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■フランス料理『欅(けやき)』
 山形県酒田市中町2-5-10 酒田産業会館地下1階

 電話:0234-22-7019
 営業時間:
   11:30〜14:00
   17:00〜21:00
 定休日:火曜日